本物の影響力のつけ方、行動経済学を用いたブランディング

書評

人は悪魔の熱狂する-悪と欲望の行動経済学-

この本を手に取った理由

私は経済学部に所属していた。その時から売れる商品はその価格、性能だけでないこと言われていたおり、

AIDMAなどの経済学も人の心理プロセスを表したものということもあり、もともと心理経済学や行動経済学に関しての興味を持っていた。

そして数値的なマーケティングだけでは売れる商品を作れないと感じた際に重要になってくるのは消費者の心理的なものであるとわかった。

それと同時に、人がなぜか買ってしまう、自分の理想との乖離のある商品を買ってしまう状態の理由を知って見たいと感じた。

買わなくてもいいのに買ってしまうこれが最強の商品だと感じているため、そのプロセスを知りたいと感じた。

学んだこと

学んだことをざっくりというと今日のマーケティングではデータからでは分からないことが多いということ。

もちろんデータは重要だが、倫理的、論理的に行動できないのが人間であり、そのデータを疑うとことから始めなければいけないということだ。

そしてそのデータで分からない人間らしさは同じ人間である私たちにしか解くことは出来ない。

以下でその理由、何を視点とするかをいくつかピックアップした。

人の欲を利用する

マックの事例から紹介する。マックの新商品「サラダマック」「クォーターパウダー」この二つは正にデータを元にした商品と、人の欲を元にした商品である。

マックを利用する人やマックを利用していない人にアンケートを取ると健康に気を使った商品がいいという答えが多かった。

そこでサラダマックという商品を出すことにした。

しかしサラダマックは売れなかった。その理由は人々は健康に良い食事の方がいいとは理解しているもののマックに求めていることはあの無性に食べたくなる、健康に良くないと思いながら食べてしまうあの感覚であったのだ。

それを示すかのようにクォーターパウンドという今までのマックより肉厚でカロリーが高い商品を出すとどんどん売れたのだ。

ここで学ぶことはデータをデータとしてみてはいけないということだ、人の心理を洞察することで売れる新商品がわかってくる。

また、人は合理的でなくダメだと思っていてもマックに行ってしまう様に自分の欲には勝てない生物であることがわかる。

この様に人の欲を利用することで売れる商品が作れるのだ。

このマックと同じ事例として挙げられるのは「食べ放題」というシステムだ。

値段を気にせずにお腹いっぱいに食べることで食欲はもちろん、ストレス解消の効果がある。

食べ放題では元を取るようにと考える人が多いだろう。

その元を取りたい、損をしたくないというのも人の欲と言えるだろう。

食欲というのはマズローの言う5段階の欲求のうちの最下層に位置する。

その欲を極限まで満たすことで人は幸福感を感じる。また気分一致効果と呼ばれる、楽しい雰囲気では記憶も楽しいものとして覚えるので、その他の楽しかったことも一緒に思い出す形になる。

それによってバイキング等の記憶がより一層楽しいものとして定着する。それによって勝手にリピーターになってくれると言う側面もある。

バイキングで言うと多くの心理的プロセスを踏んでいる。

例えば、バイキングでは多くの場合先払いのシステムになっている。もう払ってしまったのだから思おう存分楽しまないと勿体ないと多くのしょうひしゃはおもうだろ、

これをサンクコストの誤謬をいう。もう後戻りできな状態では人は二択を強いられる。

バイキングでいうとこの元を取るか取らないかだ、多くの人は元を取る様に動く、頭では腹八分目が丁度いいと知りながら本能に従い満腹まで食べてしまう。

この様な幾つもの心理的プロセスを踏む様に仕組み化されている。

怒りを利用する

欲以外に人々を熱狂させるものは怒りという感情だ。

炎上商法というワードが飛び交っていた時もあるように怒りというのは人を熱狂されると同時に理性や判断力を低下させる。

この様な怒りにを生むことで拡散力は強くなり、さらに賛否両論が生まれる。

そのことで自分を支持してくれる人が多く集まる。

この怒りはどの様に利用するのが良いのか、どう対策すべきかまでこの本では教えてくれている。

例えば、大人は正論に弱く、正論を示すとそれに反発し怒りを覚える。これによって拡散されたり、物議を醸すことで多くの人の目に触れる様になる。

これはナイーブ・シニシズムと呼ばれ、いわゆる自己中心的な考え方を持っている人に見られる傾向である。

また、人は自分の都合の良い結果やデータしか目に入らない様にしており、知識や考え方が固まってくることでこの様な怒りを生んでしまう。

こういう大人になりたくないとみんなが思っていると思う。

そうならないためにはデータを正しく集計し、偏った見方を辞めることに尽きる。

大人になるにつれこの受け入れる力が弱くなってくる傾向にある。ここをいかに客観視できるかが重要になると思います。

不満・怠惰を中心とした商品づくり

怒りや欲は人を熱狂させ、そこを利用することで商品を作っていく事が重要であると上記で示した。

これ以外で言うと人の不満や怠惰に焦点を当てた商品作りが有効だあるとこの本では示している。

一般的に言われるニーズとはこのことを指していると言える。

もっとこうしたい、これが嫌だ、これがしたくないといった感情を汲み取り、その代替え案として商品・サービスを提供する。

戦後の三種の神器や、新三種の神器は人々の不満や楽をしたいとう観点にはまり大ヒットした商品を言えるだろ。

痒い所に手が届くという商品は絶対存在する。人々の生活水準が上がってきている今でも、不満は無くなることはない。

嘘や矛盾に隠された真実

今までは心理プロセスや行動経済学の重要性を示していた。

この本で学べることのもう一つの柱についてここで述べたいと思う。

まず重要なことが人は矛盾しているということだ。

データは嘘をつかないと言われるがそのデータを取る人や取られた人は嘘をつく人間であることを忘れてはいけない良い例が最初に示したマックの例である。

データでは健康を意識している人がほとんどだったが売れたのは真逆の商品だった。人は頭で理解していることを平気で無視し本能に従う生物である。

データの取り方やそのデータの意図を気にしないでデータのみを鵜呑みにしていると、間違った判断を下してしまう。

データを正しく集め、正しい判断をする。

そしてそのデータだけでなくそのバックボーンやデータに表れないことを洞察する事が必要になってくる。

この本での学びをどう活かすか

この本では事例を元にそこに含まれる心理プロセスや状態を名前付きで教えてくれている。

人の心理状態を知ることで勝手に売れる仕組みづくりをすることが必要であるとわかった。

そしてデータを鵜呑みにするのではなくその裏に隠された真実を元に商品を作る必要があると学んだ。

また多くの心理プロセスを学ぶことで自分の今までの考え方に偏りがあるということに気づけた。

一例で言うと私は大体のことならすぐできる方だと思っていた。そして自分ができると思うとそこに対しての努力をやめてしまうという悪い癖があった。

この現象はダニング=クルーガ効果という。

知識のない人、経験のない人ができると感じるのはそれ以上にできる人をまだ知らず、錯覚しているらしい。

できる人ほど腰が低いと良く言われるがその人たちは自分たちの無知に気づき、自分たちがまだまだだと知っているから出そうだ。

私はこの部分よ読んだときにぐっさときた。そして気をつけなければならないと見に染みて感じた。

私のようにこの本を読むことで誤った考え方や認識を改める事ができる人が多いと思う。

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