製品のみでなく過程も価値とする〜プロセスエコノミー〜

書評

完成品ではなく「制作過程」を売る!プロセスエコノミーという考え方!AMAZON総合ランキング1位になった『プロセスエコノミー -あなたの物語が価値になる-』に関してレビューと学びの共有を行っていきたい。

本を手に取った理由

ニーズの多様化、商品のコモディティー化が言われているこの世の中で何を価値として差別化していくかがものを売る上で大切だと感じていた。

私は大学時代、商品ではなく経験価値というものに重きの置いたサービスの研究をしていた。

そのため、プロセスの重要性や、商品以外の価値の重要性に関して一程度の理解はあった。

しかし分析をする立場ではなく、自分が創造する立場になった場合どのように行えばいいかは分からなかった。

そこでこの本を通して製造過程を価値として消費者からの共感、ニーズを満たせる様になりたいと思い本を手に取ることにした。

ただAmazonランキング1位だからとか有名人が帯を描いているからとかの理由ではない…(笑)

この本での学び

ざっとこの本に記された学び、知識に関して紹介する。同じ文章、内容からでも得られる学びは違うと思うから他の観点で見た人がいれば是非教えて頂きたい!

個人の価値観の変化

以前は必要なものを買うために!欲しいもののために!とないものを欲するということ、そのために給与や昇進といったことを求めていた。

しかし今は欲しいものは基本手元にあるという状態が多い、そのため人の価値観は変化しており先ほどの二つを「達成」「快楽」とするなら今は

「良好な人間関係」「意味合い」「没頭」に変化している

そのため、商品のレベルを追い求めるというよりも共感できるものを欲しいと思う様になるのです

「役に立つ」より「意味がある」

つまり、何かをするのに役に立つものよりも自分らしい生き方をする上で意味を与えてくれるものの方が価値があると認識する様になっているということです。

意味があると考えるものの一つに承認欲求や所属欲求が挙げられます。

例えば、所属欲求を満たすためのビジネスとして、信者ビジネスとも言われていますが、この「好きなもの・人」を好きなグループに所属しているということに価値を感じている人に対しての商売などです

組織としてのあり方の変化

今までの企業は日本企業なら日本で、その支社の場所でとコミュニティを区切り、その中で商品レベルの向上を目指してきた。これを本書ではローカル・ハイクオリティーと呼んでいる。

しかし、ネットワークの発展等により、商品の国境線は超えやすくなり、次第には国産、外国産という括りも無くなっていく

そうなった場合、マーケットはグローバルなものになっていく、そうなるとローカル・ハイクオリティーでは戦えなくなっていく。

今までと同じように商品レベルで勝負をするなら、市場が大きくなってグローバルになったのだから、グローバル・クオリティーを目指すしかない、しかしこの方法は世界1位になった企業しか勝てない非常に厳しい戦い方である。

もう一つの方法で言うとローカル・ロークオリティを目指すと言う方法だ。

仲間内の商売と言う認識でもいいかもしれない、今まではこの仲間っていうの範囲が狭かった。しかしインターネットの普及により、この仲間がより大きく、集まりやすくなった。

それによりものやコンテンツをコミュニティとセットで売ることが可能になってきた。そしてそこに価値が生まれるから商品レベルの戦いではなくなる。

このローカル・ロークオリティで勝負するためにはプロセスやコミュニティでクオリティーと補完する、または補完することに参加者が喜ぶ仕組みを作る必要がある。

マーケティングの変化

コトラーのマーケティングにも変化がありました。

・マーケティング1.0:製品中心のマーケティング⇨機能的価値の訴求

・マーケティング2.0:顧客中心のマーケティング⇨差異的価値の訴求

・マーケティング3.0:価値主導のマーケティング⇨参加価値の訴求

・マーケティング4.0:経験価値施工のマーケティング⇨共創価値の訴求

1の時は必要な商品であれば売れる社会でした、しかし商品が多くなりただ作っているだけでは不十分になりました。

2の時は顧客をセグメントごとに区切り、ターゲットを決めものを売る時代です。

3の時は商品ではなく会社の理念や考え方にいかに共感できるか、自分の目指す社会と一致しているかと言ったことが需要になってきました。

そしてその先の4は今まで消費者側だった人が価値創造に参加したいと考える様になり、「自分が自分らしく生きるために全てのサービスがある」ことが大切になってくる。

つまり、企業に共感しその過程を一緒に歩んでいく様になるということです。

人がプロセスに共感するメカニズム

共感というワードがこれからには大切になってくることはわかるかと思います。

その共感を生むメカニズムを実際の事例を元に考えていきます。

例えば元アメリカ大統領のオバマ氏の「self us now理論」が挙げられています。

これはオバマ氏のスピーチに使われている「パブリック・ナラティブ」と「コミュニティ・オーガナイジング」の二つの理論を合わせたものです。

オバマ氏の話し方は大きな話からではなく、自分がどういう過去を持っているのかという小さな話から始まります。

そして自分たちがどうしていくのかそのために今何をすべきかを伝えます。

つまり、「story of self」私がここにいる理由から始まり「story of us」私たちがここにいる理由を聴衆に投げかけ「story of now」今行動すべき理由を訴えることで他者の物語を自分たちの物語として捉えさせ共感を生んだのです。

これは誰にでもできることです、まずは自分の話をし距離を近くし、次に共通項を見つけ連帯感を生む、そして自分の今したいことを語ることで共感を得ることと考えれば、どこでも使えるものです。

他には人々の「利他の心」を利用することです。人間は誰しも一人では生きていけないです。そして他の人のためにという精神は誰しもが持っているものなのです。

この人のために自分ができること、を考え行動に移してもらう。

そのためには常に周りのものに自分自身が感謝していないといけないでしょう。

正解主義から修正主義へ

何が正解か明確でない今日にとって正解主義は無意味だと言えます。

何かをやってみて失敗すればそこを直し、再度チャレンジすることが大切です。

そしてその試行錯誤しているプロセスを公開することで、新たな価値を生み出すきっかけになるんのです。

ゴールを決めておくのではなく、自分のやりたいことを言う大枠だけきめ、そこから出発してみることが大切です。

ただ、そのまま出発してもほとんど失敗するでしょう。だからその失敗が許される許容範囲を決めておきその中では失敗しまくる。

その一つでは成り立たないものを集め、一つのものにしてしまうこと、そして失敗の中から、学び作っていくこともプロセスエコノミーにとって大切な過程です。

自分の好きなものを発信し、共感を呼ぶ。

プロセスエコノミーをいかに実践するか

「WHY」を大切にする。

情報社会の中で皆が最初に目に止まるものは「WHAT」です。

アウトプットされたものそのものです。しかしそのWHATだけでは差別化できず、自分のファンを獲得するにはどうの様に伝えるかという「how」が必要になってきます。

しかし、その中でさらにファンを獲得していくためには「WHY」なぜやるのかということが大切になってきます。

そうすることで「why」という十人十色の価値が生まれ、その価値に共感する人が集まるという仕組みを作るのです。

「why」の意義を持ち、自分ならではのこだわりと責任感にプラスしちょっとした失敗を見せることで共感をより生み出すことができます。

ちなみにこのwhyは自分がブレないために常に思っておきましょう!!

この本での学びをどう活かすか

もの自体で差別化を行うのではなく、その裏にあるバックボーンを差別化とし、共感をもととした販売を行うことが必要だと感じた。

これは一概に商品(=モノ)だけでなく、自分を商品とした場合も同様であると感じた、今世の中にはたくさんの情報があるれている。

そしてその多くは誰でも知ることができる。そのため能力、知識での差別化よりも自分のバックボーンからくる価値観や考え方が大切だと思う。

そのためその前提となる知識や能力は最低限できるようになっていないといけない。そういう意味では読書や勉強に投資し人よりも劣らないレベルにはしないといけない。

ただ重要なのはそこから自分がどういう人間なのかを表現する能力だと感じた。

この本ではその先、表現の仕方まで事例ともに紹介している。

ただの商品ではなく、自分を商品とみたてこの本をもう一度読むと新たな発見が得られると思う。

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